仙人峠

📝 イントロダクション

細越の沓掛を登り口として、東海岸の釜石へ越える標高八八七㍍の嶮しい峠。藩政時代には釜石から海産物、遠野から米や雑穀を輸送する重要な交通路であった。明治になって釜石の製鉄所が発展するとさらに頻繁になった。大正四年(一九一五)に開通した岩手軽便鉄道は、この峠にトンネルを堀ることをあきらめて索道を作って物資の輸送にあたった。沓掛は交通の要衝の集落として栄え、休み茶屋、駕籠屋などがあり、峠頂上の茶屋では水も売っていた。 昭和二五年(一九五〇)国鉄釜石線の全通、昭和三四年(一九五九)の仙人有料道路トンネルの開通によって、仙人峠の面影はなくなった。