史跡
伊豆権現
地名も権現である。「遠野物語」二に登場する母神と三人の女神の宿りし所という伝説の地で、御産畑、御産田(鍋田)と共に遠野三山伝説の発祥の地となっている。「遠野物語」二では、「……大昔に女神あり、三人の娘を伴ひて比高原に来り、今の来内村の伊豆権現の社ある処に宿りし夜、今夜よき夢を見たらん娘によき山を与ふべしと母の神の語りて寝たりしに、夜深く霊華降りて姉の姫の胸の上に止りしを、末の姫眼覚めて窃(ひそか)に之を取り、我胸の上に載せたりしかば、終に最も美しき早池峰の山を得、姉たちは六角牛と石上とを得たり、若き三人の女神各三つの山に住し今も之を領したまふ故に、遠野の女どもはその妬を畏れて今も此山には遊ばずと云えり」とある。